レストア日記   ロッドのレストア状況を報告しています。
    

VOL1:レナード救出作戦
H.L.Leonard Catskill
9’1/2”、3/2
VOL2:ハーディ救出作戦
Hardy Tounamenill
10’8”3ps1tpダブルハンド
VOL3:ハーディ救出作戦
Hardy Tounamenill
7’9”#4・5
最初にこのロッドを見たとき、どうなるかと心配していましたが、何とかよみがえりました。ともかく約100年前のロッドがよみがえりました。 ブランク自体は非常に綺麗でしたので、一部のスレットはオリジナルのままあえて残し、クラッシクさを残してみました。 赤の段巻きにあわせ、当時のハーディーらしく濃いえんじ色のガイドラッピングを施すことでオリジナルの感じが出ていると思います。

〜  VOL3:ハーディ救出作戦  〜

   2001.10.23  
 第1回目の報告は以上です。塗装をはがした後白い竹肌が出てきました。バット部分に多少シミがありましたが、ブランクに大きな傷等はありませんでした。ただスレット下とそうでない部分の竹色が若干変わってしまっています。同じ位置にスレットを巻かないと仕上げ時に色の違いが出てきてしまうと思います。グリップ内部のケーンは表層のファイバーが残った状態で、ブランクの接着時には殆ど表層を削らすに行いその後グリップから上部のみの表層ファイバーを剥いたと思います。表層ファイバーを出来るだけ残している事がよく分かります。

次回はカットダウンから組立てを報告します。

 塗装を剥がした後ラッピングを取ります。
ラッピングやガイド下の塗装もアルコールでふき取ると綺麗に取れてしまいます。
コルクはペンチで簡単にパリパリと剥きとる事ができます。劣化が進めば進むほど簡単に取れてしまいます。

 写真にはありませんがグリップ内のテーパーはレベルでグリップ先端の太さのままリールシートまできていました。
ケーンの一番上部のファイバーが残った状態でした。ブランクを接着した後、表層を剥いたのでしょう。

 古いロッドは殆どフェルール内にピンがうってあります。フェルールを傷つけないように注意して抜き取ります。
今回カットダウンはティップ、バット共下部をカットする為フェルールの処理はこれだけになります。


 ブランクの表層ファイバーを痛めないように、剥離剤により塗装をはがします。
このロッドの塗装はワニス系の為、比較的簡単に剥離します。アルコールで拭くだけでもとれますが、この方が効率的だと思います古いロッドは剥離剤を拭き取る際、気を付けないとスレットがほつれてしまいます今回は全部巻き直しをするので、あまり気にせず行いましたがスレッドはしっかりしており、ほつれることはありませんでした。バーニッシュのみのレストアならこの後アルコールでクリーニングして塗装をかければ完成になります。

 サイン部分は後で、アルコールで塗装を処理する為、マスキングしておきます。


 ロッドの現状を転記します。
ガイド、段巻き位置は勿論その他の情報もなるべく細かく記入しておきます。サインも消えてしまう恐れがあるので、ビニール等に複写しておきます。
 今回段巻きカラーを赤に変更しますが、現状の段巻きカラーの色、その他ガイドラッピグ、シグネチャーラッピグの色も確認します。


 アクションはパラボリックで、ティップ下部からバットにかけロッドがしなりアクションをだしています。現状では#5がベストですが#4WFも十分しようできる感じです。ロングからミドルまでのキャスティングが非常にしやすく扱いやすいロッドだと思います。
今回8’を7’9”にカットダウンしますが、アクションに極力影響がでないしょうにTip・Butt共下部をカットします。
仕上げもハーディーらしくかっこいいと思います。バーニッシュはワニス系で表面が劣化で、剥離やでこぼこになっています。この状態のまま水に濡らすのはちょっと忍びないですね。グリップコルクも劣化が始まっています。
1ティップがショートしている事がちょっと残念・・・ですね。
斎藤様とのご相談結果の仕様内容です。
1、7’9”#4・5
2、段巻きカラーは赤(間隔はお任せ)
3、フックキーパー取り付け。
4、グリップは取り替え。(長さは若干短くします)
5、ガイド、巻き直し。
6、ワインディングチェック取り付け。
7、ネーミング処理方法は書き直し可
以上が希望内容です。
   2001.11.5  
 今回の報告は以上です。ここまでくればほぼ完成!後は塗装だけです。
なんだか完成が自分でも待ちどうしいですね。斎藤さんのロッドなのに愛着さえ湧いてきてしまいます。
斎藤様、もう少しお待ちください。
 斎藤様ご要望のチェック、フックキーパーを取り付けスレットを巻いて行きます。
段巻きはご要望により赤に、シグネチャーラップは、ブラウンにしました。丁度オリジナルと逆のラッピングカラーにしました。(オリジナルは、段巻き:ブラウン、シグネチャーラップ:赤です)
段巻きは??個ありました。(次回数えて報告します) 意外と大変なんですよ 巻くの(^^;)


 ネーミング部分を前回写しておくのを忘れていました。
ビニールをあて複写します。写真でもわかると思いますがネーミング部分だけワニスを残しています。この塗料をアルコールで拭き取るのですが、やりすぎるとネーミングも消えてしまいます。
ベビー用綿棒や楊枝の先に脱脂綿をつけた物で慎重にクリーニングします。

 グリップの作製です。形状は複写しておいた絵をみながら出来るだけ同じ形状に近づけます。当初よりカットした分クリップを短くしています。
 写真左上のカットしたブランクの切れ端をペンチでつぶしてみました。接着剤が劣化をおこしていたり、もともとのブランクの接着状態が良くないブランクはすぐにばらばらになってしまう事があります。このブランクはしっかり接着されていて、ペンチでつぶしても接着面でばらばらにならず表面がつぶれ接着面ではなく竹のファイバーが先に裂けました。切断面をみても綺麗に接着、プレーニングされています。

 写真右上はフェルールの取り付け部分を削るところです。
第2回目の報告をいたします。
当初、7’6”にカットダウンしてほしいとの事でしたが、ご相談の結果約3インチカットの7’9”のダウンにしました。アクションを極力生かす様に、バットセクションはリールシート側、ティップセクションはフェルール側のカットとしました。
上部右写真はカット位置のマーキングです。


   2001.11.30  
 今回このロッドのレストアする上で一番気を使ったのはカットダウンするにあたり極力アクションを替えない様にする事でした。オーナーのご希望で、3インチのダウンになりましたが番手を変えたくないとの事なので、その為バット部はグリップ側のカットとしました。グリップの長さ、シグネチャーラッピングとのバランスを注意し総合的なバランスを崩さないよう気を使いレストアを行いました。
少々予定より送れてしまいましたが、私的には満足な仕上がりになっています。
斎藤様、ご依頼頂きありがとうございました。
 仕上がりの写真です。アクションは当初と殆ど変わっていません。パラボリックアクションで、ロッドパワーもあり道内でのDFでの釣り上がり、大型のレインボー相手でも十分楽しめると思います。

赤の段巻きにあわせ、又当時のハーディーらしく濃いえんじ色のガイドラッピングを施すことでオリジナルの感じが出ていると思っておもいます。掲示版にても報告致しましたがこのロッドはC.C.De.Franceで製造年度は1930年の物だと思います。
ネーミング部分はオリジナルをそのまま残している為、文字の周りに多少以前の塗料が残っていますが、極力色のムラが出ないように仕上げています。

 まずスレット部分を2回塗装します。乾燥後ディッピングにて塗装し再度乾燥、その後スレット部を再び塗装し乾燥、ディッピング、乾燥、と繰り返し行い乾燥は、ホコリがつかない様に乾燥室にて行います。今回ディッピングは4回行っています。
濃度の違う塗料を使い、最後は薄い濃度の塗料で仕上げるようにしています。


 第3回目、最終報告をいたします。
前回の報告で段巻きの数を数えていませんでした。Butt:約24ヶ所 Tip約48ヶ所 エクストラTip約38ヶ所全部で、約110ヶ所だったと思います。(一度数えたのですけど忘れてしまいました・・・
(^^;)

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