レストア日記   ロッドのレストア状況を報告しています。
    

VOL1:レナード救出作戦
H.L.Leonard Catskill
9’1/2”、3/2
VOL2:ハーディ救出作戦
Hardy Tounamenill
10’8”3ps1tpダブルハンド
VOL3:ハーディ救出作戦
Hardy Tounamenill
7’9”#4・5
最初にこのロッドを見たとき、どうなるかと心配していましたが、何とかよみがえりました。ともかく約100年前のロッドがよみがえりました。 ブランク自体は非常に綺麗でしたので、一部のスレットはオリジナルのままあえて残し、クラッシクさを残してみました。 赤の段巻きにあわせ、当時のハーディーらしく濃いえんじ色のガイドラッピングを施すことでオリジナルの感じが出ていると思います。

〜  VOL2:ハーディ救出作戦  〜

   2001.3.21  
 今回第1回目はブランクを裸にしましたがブランクはとても綺麗な状態でスレットのシミもありませんでした。
このロッド(Hardy)は一つ一つのパーツに重みを感じます。フェルール一つをとっても、歴史を感じされるロッドだと思います。
良いブランクのロッドはレストアすると、まったく新品の状態になります。それも綺麗で良いと思いますが、今回のように一部のスレットをオリジナルのままあえて残したり、機能上問題のない部分は極力そのままにしクラッシクさを残し、なおかつ使用にも問題を起さなければ、また楽しめると思います。  今回ネーミング部分の処理をどの様に行うか、問題が残りましたが良い物に仕上がる様努力していきます。

 シグネチャーラップ部分のスレットはオリジナルを残す為、剥離材を使用します。古いスレットなので、もろくなっている事が多い為慎重に行います。(一度ばらけてしまうと厄介なので特に注意します。)

ネーミング部分は剥離材も使用できない為、アルコールを綿棒に染み込ませバーニッシュを取って行きます。
うっかりやりすぎると、ネーミングも消えてしまいますので注意します。
写真の様に、文字の周辺のバーニッシュ処理はこれ以上行うと文字まで消えてしまいますので、何か良い方法はないか現在検討中です。
 記録を全て終えたら、ガイド、段巻きスレットを取り外します。
古いバーニッシュはサンディングにて削りとります。この際あまりやりすぎて、竹、表面のファイバーをあまり削らない様に注意します。今回はバットセクション以外のフェルールは取らないで行う為、サンディング時はしっかりマスキングして置きます
 バーニッシュをやり直すのに問題があるのは、ブランクに書かれたブランド名のネーミングです。
今回は最悪書き直してもいいとKazzさんとのやりとりで伺いましたが、出来るだけ残す方向で行おうと思います。
どちらにしても、現状を出来るだけ正確に記録します。
(写真の様にビニールを取付け、上からトレースしました。)

カットダウンを1インチ(約2.54cm)行います。竹の表面ファイバーを痛めな様に細かい刃の、のこぎりにて慎重におこないます。
フェルールのくぼみ部分が、しっかり削られているのがわかります。
写真左 ・下

 カットダウンするバット部のフェルールを取り外します。ピンが打ってあった為、レナードレストア同様慎重に作業します。
ピンを抜いた後アルコールランプにて熱を加え接着剤を剥離させます。
熱をフェルールに加える時、あまり長く熱を加えると、フェルール内部のロウ付けが剥がれてしまう恐れがあるので、慎重に行います。
このタイプのフェルールは、内部にくぼみがあり、ブランクも中央部がくぼみにあわせ削られていました。
写真左がフェルール取り外し後です。


 まず、現状のロッド長さ・ガイド位置、数・段巻き位置、数・フェルール位置等を紙に記録します。この作業は今後パーツを取り外した後カットダウンの長さ確認、段巻きの太さや間隔を確認する為行います。
マスキングテープの位置はKazzさんより、指示のあったガイドの取り付け位置です。(紙には△印で記録)
一度全てをばらしてしまうと、オリジナルのガイド位置がどこにあったのかや、状態がどうなってか等、わからなくなってしまいます。もちろん写真もとっておく方が良いと思いますが、紙に記録することによって、ロッドの状態がよくわかる様になり、今後作業を進めるにあたり何かと便利です。


Kazzさんより、Hardyのレストア依頼をお願いされました。レストア日記第2段として、今後報告して行きたいと思います。

依頼されたHardyは10’8”3ps1tpのTounament ダブルハンドです。Kazzさん自身でトップセクションのガイド取り外し、バーニッシュの剥離は行っていました。  (上記4枚の写真は現状です。)

Kazzさんより仕上げの要望
  段巻き、ガイド部のスレット、ガイドは提供されました。
1、バットセクションを1インチ、カットダウン(金属線に注意)
2、スチールセンターに水が染み込まない様トップガイドの接着とトップセクションの表面塗装は防水を優先。
3、ネーミングの処理方法は書き直しを行ってもいい。
4、もし可能ならバットセクションのシグネチャーラップとフェルール前後の飾り巻きは残したい。
  (色が違いすぎたり何か問題が起きた場合はお任せ)
5、ガイド位置はマスキングテープ位置に取り付け(標準より2個増)
6、ストリッピングガイドの位置は現状のまま。
7、段巻きカラーは提供された805Butterscotchカラー。
8、ガイド、フックキーパー部分のスレットも提供された206Garnetカラー。
以上が仕上げの要望です。五男がレストア作業を行いますが、長男、三男共協力し要望に沿える様レストアを進めていきます。

   2001.5.9  
 前回ネーミング部分の処理をどうするかについて保留していましたが、結局一生懸命こつこつと文字の廻りのバーニッシュを細い綿棒で出来る限り落とす事にしました。それしかないみたいですね・・・
バンブーのダブルハンドも結構いいですね。長男もダブルハンドにはまリ気味!?
次回はバーニッシュです。Kazzさんもうすぐ終わりますので・・
 鉛筆で軽くマーキングした段巻き位置にスレットをほどこして行きます。
段巻きはかなりの数になるので結構大変です。段巻きの太さはバット部分で5巻き、ミドルで4巻き、トップで3巻きになります。
3巻きになると、すぐほつれてしまいますので、慎重に行い、瞬間接着剤等で軽く補強しておくと便利です。
 ガイドを取り付けた後、段巻きの位置を検討します。
ここでもオリジナルを転記した絵を参考に段巻き位置を決めました。バット部分はストリッピングガイドの位置を変えてませんので、オリジナルと同じ位置にほどこします。ミドル、トップについては、ガイド間隔がオリジナルのものと近い位置にある場所の段巻き間隔を基準に設定します。ミドルのちょうど真中、ガイド二個目から三個目を12等分にし段巻き間隔を約2cmに決めました。これを基準に考え、その下のガイド間を13等分で段巻き間隔を約2.1cmで行いました。この様にガイド間を何等分に行うか段巻き間隔を何cmにするか考えて行きます。

 上左の写真が今回使用するガイドとスレットです。
赤スレットで、ガイド、フックキーパーを行いますがオリジナルのシグネチャーラップとの色合いを一度確認しています。
今回のスレットカラーのほうが、色は濃くでますが、オリジナルときわっだって違うわけでもなく、良い感じの色合いになりそうです。

 最初に転記した絵を参考にガイドの位置をマーキングします。
ガイドはトップセクションで4個を5個にミドルセクションで3個を4個に増やしています。気になるのが、前にあった糸部分が焼けておらずブランクの色が変わってしまっています。今度は同じ位置にスレットがきませんので色が変わっているのが若干目立つかもしれません。
バット部分をカットダウンした後再度フェルールの接着を行います。このフェルールはスクリュータイプなので、取り付け後の位置を正確に行う為、ミドル部分をジョイントした状態で行いました。しっかりとジョイントした状態で、上下のフェルールのマーキングが揃うようになっています。(写真で1のマークです)
メスフェルールの穴はピンを打ち込む部分です。
接着が完全に乾いた時点で、ピンを打ち込みます。
 2回目のレストア報告を致します。ずいぶんと間があいてしまいました。私事ですが、色々と忙しい日々がつずいてしまいまして、やっと報告することが出来る状態になりました、ホームページの更新の方もずいぶんと止まったままになり、何度か足を運んでいただいた方々に申し訳なく思います。

さて、レストアですが前回バットのカットダウンから塗装の剥がしまで報告が終わっています。今回はフェルールの取り付けからラッピングまで報告いたします。

   2001.6.6  
  今回このHardyロッドのレストアを行いこちらも大変勉強になりました。Kazzさん希望通り仕上がっているでしょうか?
ブランクは非常に綺麗で使用上問題になる様な傷等は見られませんでしたので、おもいっきり使えると思えますよ。
中善寺で使用になるとの事などで、レイクとのツーショットを期待しています。
ありがとうございました。
 
 上の写真5枚が完成写真です。
既存のシグネチャーラップと新たに巻いたスレットの色も違和感はありません。
ネーミング部分の処理もうまくいき、ホットしています。


 スレット部分のみを数回、筆にて塗装を行った後ディッピングによる塗装を行います。巻き上げはモーターにてゆっくり行い、塗装のムラが出ないようにします。そして乾燥室に移します。この作業を4回行いました。通常3回で充分なのですが、ここでも防水性能を優先しています。

 最後まで悩ませたのは、このネーミングの処理です。
古いバーニッシュをできるだけ残さない様に又文字を消してしまはない様に楊枝の先端に脱脂綿をつけ、慎重にクリーニングしました。
(結構これは大変でした)
ティップ部分先端にスチールが露出していたので、エポキシにて塗膜を作り水の浸入を防ぎます。
Kazzさんより防水性能を優先してほしいとの事でしたので、この様な予防をしました。
この工程の後、トップガイドを取り付けています。
 今回最終報告をいたします。
前回スレットの巻きまで終了しましたので、今回は最終のバーニッシュを報告します。

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