レストア日記   ロッドのレストア状況を報告しています。
    

VOL1:レナード救出作戦
H.L.Leonard Catskill
9’1/2”、3/2
VOL2:ハーディ救出作戦
Hardy Tounamenill
10’8”3ps1tpダブルハンド
VOL3:ハーディ救出作戦
Hardy Tounamenill
7’9”#4・5
最初にこのロッドを見たとき、どうなるかと心配していましたが、何とかよみがえりました。ともかく約100年前のロッドがよみがえりました。 ブランク自体は非常に綺麗でしたので、一部のスレットはオリジナルのままあえて残し、クラッシクさを残してみました。 赤の段巻きにあわせ、当時のハーディーらしく濃いえんじ色のガイドラッピングを施すことでオリジナルの感じが出ていると思います。

〜  VOL1:レナード救出作戦  〜

   2000.9.25
今日アメリカからロッドが届きました。H.L.Leonard Catskill、9’1/2”、3/2、です。
デイーラーのカタログ上では塗料のメルトダウンがある事と片方のトップセクションに修理のラッピングがある事が表示されていました。
届いて梱包を開けてちょっと愕然としました。予想を超えてひどい状態だったので・・・。ただブランクがしっかりしている事とハードウェアーやフェルールに大きな傷みがなく、冷静になるにしたがってこれは結構いけるんでないかいとやる気が湧いてきました。

さて、このレナードをどう救出するか。
シリアスなコレクターならこのままにするかもしれません。きれい好きな人は塗料だけ落としてオリジナルのラッピングにバーニシュをかけ直すでしょう。この際だから全て落としてきれいにリフィニッシュする方が良いかも知れません。
長さは9フィート6インチありますが細身のロッドです。今のラインだと4wtでしょうか。かなりのスローアクションで当時のウェット用ロッドだと思います。先端部はかなり繊細で3ライン用のトップのようです8フィートから8フィート6インチにダウンした方が使いやすいアクションになりそうなので、現在思案中です!?

   2000.10.4
バットセクションのブランクにしみが広がっているのが気になっていたので一部分リムーバーとアセトンを使って塗料を剥離してみました。
青黒いシミがかなり広がっています。
巻き糸はレナードでは珍しい二色のより糸です。しかしこのシミには参りました。きっと糸の染料が塗料と一緒に溶けて竹の肌に染み付いたのだと思います。
一番下写真はF.E.トーマスのトップセクションです。こちらもメルトダウンがひどかったため塗料を落としたのですが、きれいな竹肌と鮮やかなスレッドカラーが現れました。
これに比べるとレナードの方は厄介です。糸の状態もよくないですしブランクも軽くサンデイングしないとこの青黒いシミは取れそうもありません。

   2000.10.18  
まだ考えはまとまっていないのですが取り合えず古い塗料を全て落としてしまおうと思い作業にかかりました。
リムーバーとうすめ液、ボロ布、テイッシュペーパーそして容器に筆 を用意してベランダに新聞紙を広げました。新聞紙の上にロッドをならべて筆でリムーバーを塗っていきます。
ひととおり塗り終わった頃には最初に塗った部分の塗料が浮き上がって来ます。それをうすめ液を染み込ませたテイッシュで拭き取っていきます。この時、力を入れすぎたり強引にすると巻糸がとれてしまいます。このロッドは段巻ですからよりいっそう慎重に作業を進める必要があります。皮膚の敏感な人はゴム手袋等をした方がよいです。かなり刺激が強く匂いもあります。  リムーバーがブランクの接着剤に影響しないようにすみやかに作業をする事も大切です。
作業じたいは1時間程度で完了しました。
バットセクションに比べるとミドルセクション・トップセクションのシミはひどくはありませんでした。とくにトップセクションはとてもきれいな状態です。この後オリジナルにこだわって仕上げるとした場合逆ひねりのスネークガイド2個とオリジナルと同じ糸、おそらく白黒の絹のジャスパースレッドが必要になりますがどちらも入手が難しい材料です。


   2000.10.24  
シャフトのしみを少しずつ落としはじめましたが時間がかかりそうです。


白黒のジャスパースレッドをアメリカのクラッシックタックルデイーラーで見つけました。Wright & McGillのオリジナルスレッドらしいですが$80です。大巻とはいえ糸としてはいい御値段です。

参考までに以前レストアしたおなじくレナードのキャッツキルがありますので写真を紹介します。
2本共9’キャッツキルのようです。
レッドラップのほうが8’6”でトップセクションが一本だったため1トップを新しく制作しました。
オリーブラップは8’に調整してあります。
こちらは写真で分かる通りかなりひどい状態でした。一方のトップは折れていたためスカーフドジョイントで修理しました。

両方ともお気に入りのロッドです。


   2000.11.6 
仕事が忙しくてなかなかレストアが進行しません。
アメリカからシルクのジャスパースレッドが届きました。
写真左端が今回取り寄せたもので真ん中は以前アメリカのクラッシックロッドのコレクターからいただいたものです。
右端の黄色のジャスパースレッドは国産の化繊糸でお値段は300円だったとおもいます。
シルクのデッドストックの30分の1のお値段です。
逆ひねりのガイドは以前ジャンク品からパーツ取りしたものがありますのでそれを使用します。
塗料はアメリカの多くのビルダーが愛用しているスパーバーニッシュを使いたいと思っています。








一方のトップセクションに修理のラッピングがあったので様子をみるため糸を取り除いていくと金属のプレートが出てきました。補強のために入れてあるのは明らかです。
単に糸を巻くだけでなく補強材を入れるのもよいアイデアだとおもいます。

   2000.12.10 
レストア中のレナード9’6”キャッツキルはヤフーオークションにおいてbabycreek00さんに落札されました。ありがとうございます。

ご本人はロッドの長さは8フィート、#4/5で赤い段巻をご希望されました。今後、できれば今年中の完成を目指して作業を進めて行ます。レストア作業は五男が担当します。

 さて早速ですが、まずロッドのデザインを写し取る事から始めます。これは全てのラッピングやパーツを取り去って組み直すときにそれぞれのパーツの位置にくるいが出ないようにするために不可欠の工程で、グリップやガイド、段巻の位置も記録しておきます。

又カット部分も記入します。グリップは、のぎすを使いテーパー形状を記録します。

 ロッドデザインを写し取ったらそれぞれのパーツを取りはずします。
スネークガイド、フックキーパーを傷を付けない様、注意して取ります。
今回スネークガイドが2本欠落していますが、長さを8フィートにする為不足することは無いでしょう。

 一番注意したのがフェルールの取り外し作業です。フェルール自体は非常にタイトで上質でした。あまり使用されていないロッドかもしれません。この時代のロッドのフェルールにはピンが打ち込んであります。気を抜くとだいなしにしてしまうので慎重に作業することが大切です。

 今回のロッドはコルクグリップはかなりきれいなのですが、何といっても100年前のものです。経験上2,3度使うとボロボロになるのが目に見えていますのでコルクも交換することにしました。今のものと違って1/4インチの幅の狭いコルクが使われています。グリップの形状と太さもしっかり記録しておきます。コルクグリップの下にはスウェルバットから膨らんだ太いブランクが表れました。
なかなかグリップの内部まで見れないのではないでしょうか?隠れてしまう所だと言っても雑な仕事はしていないですね。

 
 第一段階の作業として、全てのラッピングとパーツを取り除き全体を軽くサンデイングしました。最初にあったシミも落とされきれいなトンキン竹の肌になりました。ただ長い年月の間に節の繊維内とジョイント面のみに若干のシミが入り込んでいました。表層の繊維をサンディングをしすぎるとブランクが弱くなる為あまり出来ませんが出来る限りシミを落としました。

 ロッドを裸にしてみて改めてブランクの作りの良さに驚きました。曲がりはほとんどありません100年前のロッドとは思えないようです。
8フィートに調整するということなのでレナードの50DF#5/6と比較してみましたが、トップセクションはかなり細めです。写真でも分かると思いますが、ミドルセクションはトップよりが細めで下の方は同じ程度の太さです。バットセクションは9’6”ですのでやはり太くなっています。テーパーを比較してみておそらくミデイアムアクションの#4/5に仕上げる事は可能ではないかと思いました。
この後、次の休日に長さを調整して一度塗装します。何とか今年中に仕上がるのではないでしょうか。

   2000.12.24  
 レナード、レストア二日目に入りました。前回はバーニッシュを全て剥がす所まで行き今回はいよいよ9’6”を8’までカットダウンを行います。まず、フェルールの取り外しを行いました。熱を加え接着材を浮き上がらせます。この際、熱を加えすぎるとフェルールのロウ付けが剥がれてしまう可能性があるので、注意します。(ジョイントやエンド部がロウ付けの物が多くあります。)又ブランクの接着まで剥がさない様に注意します。そしていよいよカットダウンをします。希望番手は#4・5ですので、前回比較した50DFのテーパーをもとに行ったのですが、とても不安な作業です。長男、三男と検討し、まずバットの上部、そしてミドルの下部、トップの下部をカットしました。エクストラトップの一本はブランクに問題がある為(金属プレートが入っていた場所11.6参照)その部分にガイドが乗るようにカットを行いました。金属プレートは使用せず、ガイドのラッピングで補強を考えた為です。そしてガイドフットの間をシースルーでラッピングを施そうと思います。その為上部と下部のカットとなりました。
カットの後フェルールを借りづけしアクションをたしかめましたが、希望4・5が乗るミディアムアクションになりそうです。まだガイドがまったく付いてない状態ですので若干固めですが、ガイドが全て設置されるとかなりアクションは柔らかくなります。
9’6”の時より数段良い、扱い易くなったとおもいます。まあ1’6”のカットをしてるので扱い易くなるのは当然の結果なのかもしれませんが、張りのある良いロッドだと思います。さすがレナード!!ですね。
 フェルールですが機能的にはまったく問題ないのですが、黒染めがかなり腐食していた為、一度綺麗に研磨し再び黒染めを施しました。
 今日最後仕事として、ブランクに下塗りをおこないました。
バーニッシュはウレタンを使用します。ディッピングによる塗りで塗料のたれが出ないよう、又ムラにならないようゆっくり引き上げます。その後乾燥庫にて乾かします。
次回はフェルールの取り付け、クリップの取り付け、そしてガイド位置の仮止め位まで報告できればと思います。


   2001.1.8  
 レナード、レストア三日目に入りました。前回ブランクの下塗りを行ったまで終了し、今回フェルールの取付けからガイド位置決定までの報告を行います。
  フェルールをエポキシ系接着剤で固定します。この際長時間型の接着剤の方が強度がある様です。接着終了後ピンを入れますが、ピンは抜き取ったものが使用できなくなってしまったので、新たにニッケル線を入れました。オス側はフェルールのすり合わせに影響がでるので、丁寧にサンディングしピンの頭をそろえます。


 現在のコルクは約13mmに対してこの当時は約9mmと細く今回も当時のようにする為、スライスして使用する事にいました。


 コルクを接着後シェービングに入ります。この際、旋盤は不可欠ですね。前に記録していたグリップ形状に合わせる様、慎重にシェービングします。

 もともとストリッピングガイドはなく、スネークガイドとなっていたのですが、今回はメノーのストリッピングをいれます。
スネークガイドも腐食が若干あったので、クリーニングの後黒染めをしなおしました。この当時のガイドは小さくてかっこいいですね。メノーは結構渋くなりますよ。
 ガイド位置を仮止めします。今回カットダウンしているので前回の位置にガイドは合いませんので50DFのガイド位置に合わせる事にしました。 写真でもわかると思いますが、あまり位置の違いはありませんでした。 心配なのは、前の段巻後がでてきてしまう事ですが、現状もほとんど後が出てないので気にならないと思います。

 エクストラトップの一本ブランクに補強の為のラッピングをおこないます。シースルーとしてその上にガイドをのせ補強のかわりとします。


ガイドの位置が決定したので後はラッピングです。今回段巻きは、ガイド間5本あります。(結構大変そう!?)次回は最終仕上がりまで報告します。(1月末頃?かな。)


 年内の完成を目指していたのですが1月になってしまいましたbabycreek00さんもう少しまってください。

   2001.2.16  
 レナード、レストア四日目に入りました。前回フェルールの取付けから補強ラッピングまで終了しました。いよいよ今回最終仕上げまでの報告を行います。当初予定よりかなり遅れてしまいました・・・(;++)

 前回マスキングテープで印しをした部分に段巻きを施します。隙間のないようまた、ずれがないように気おつけます。
特に、エクストラトップは段巻きを2本同じ位置に施さないとおかしくなってしまいますので、注意して行います。
全てのラッピングを行った後、まずラッピング部分のみを塗装します。これからの作業は塗っては乾かしの繰り返しになります。

 
 トップセクションの一箇所に写真下部ガイド部分に補強のラッピングを行いました。
シースルーにて行いましたので最終的には、右側写真の様に一見わからなくなっています。(下のトップセクションのガイド部分にラッピングをしてあります。)

 スレット部分の塗装を数回行った後、ディッピングにての塗装を行います。塗装の厚みを確認しながら行い、今回は3回行いました。
現代的ロッド、また綺麗に見せるだけなら糸の目が完全につぶれるまで塗装を行って、てかてか、にしてしまう事もできますが、やはり塗装は薄く行ったほうが、味がありバンブーらいしのではないでしょうか。
その様なことから多少糸目が残る程度の塗装で仕上げました。
冬場の塗装はやはり乾くまで時間がかかりますね。 ディッピングの後乾燥庫に入れておくのですが、夏場に比べるとやはりかなり時間がかかります。これからは、気温、また塗装の工程におおじて濃度を変えて行こうかと思います。

 アクションの確認を行ったのですがトップセクション(カットダウンしていない方)で#4〜#5になてます。ミディアムアクションで中距離からはとても投げ安いとおもいます。エクストラトップは先端もカットダウンしている為、若干強めになってます。状況により使い分けてください。
 オリジナルには付いていなかったスプリットのメノウですが、とてもロッドにあっていると思いますけどどうでしょうか?。

babycreek00さん遅くなり大変お待たせしました。

 最初にこのロッドを見たとき、どうなるかと心配していましたが、何とかよみがえりました。自分で手をかレストアしていると、なんだかとても愛着が湧いてきてしまい、手元を離れてしまうのが、なんだかとても寂しく思います。(;_;)
ともかく約100年前のロッドがよみがえりました。心置きなくバンバン使ってください。
そしてまた100年を経ても健在している事を願います。(ちょっと大げさですが、大切に使用して下さい。)


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