クラッシックロッドの楽しみ 古いバンブーロッドのチューンナップ??や
収集の楽しみなどを私達なりの意見で展開させていきます。
VOL1 VOL2 VOL3 VOL4 VOL5
VOL6 VOL7 VOL8 VOL9 VOL10
VOL11 VOL12


クラッシックロッドの楽しみ(もしくは苦しみ)VOL1     2000/10/8 by 長男
 私は今、8フィート6インチから9フィートのバンブーロッドに面白味を感じています。
作り手にするととても難しい長さだと思います。短い竿はどう頑張っても重くなりませんが、長い竿はどう頑張っても重くなるからです。単に重さだけでなく長いロッドは動きにおける荷重も大きくなりますからテーパーデザインも難しいのです。
 1900年代はじめの段巻の竿には長くてスローなアクションのロッドが多くあります。ドライフライが主流に成る以前の竿たちですから今で言うウェット用のロッドになります。シルクラインの先にドロッパーを幾つも付けたスペイキャスト?(ロールキャスト)での釣りが主流だったようです。当然長く柔らかいロッドの方が都合がよいわけです。このようなロッドはスローアクションあるいはエクストラスローアクションですからそのまま使おうとした場合、初心者にはかなりキャストが難しくなります。
ある程度バンブーロッドを使い慣れている私の友人達でも手を出そうとはしません。


私自身はこのような竿も好きなのです。
そして8‘6“の竿を何本か手にしているうちに気づいたのですが、ミドル.トップはかなり繊細で今のラインで2/3WTが使えるロッドが結構在ることです。
これはドライ用に使わない手はないと真剣に思って制作したのがミドルとトップをより活かすためのコンビネーショングリップ(写真下段2本のバットセクション)です。8’6”の3Pのロッドにあわせて長い方のバットを継ぐと8‘に、短い方だと6‘9“として使えます。8’6”でエクストラスローアクションだったロッドが8’でスロー。6‘9“ではミデイアムスローとかなり変貌しました。通好みの柔らか目のドライ用ロッドになって出番も増えました。


写真は上がH.L.Leonard8‘6“キャッツキルですこのロッドはミデイアムスローアクションでそのままで張りのある良いロッドです。中、下がノーマークですが中はCHUBBの可能性が濃厚です。3本ともフェルールのサイズが共通だったためコンビネーショングリップが使用できます。
なんだかとても徳をした感じです。


 クラッシックロッドの楽しみ(もしくは苦しみ)VOL2     2000/10/12 by 長男
 コンビネーショングリップに付いて触れたので、おそれおおくもペインのトップセクションを使った私のバンティーロッド を紹介します。ペインのモデルのなかに4‘4“BANTYというモデルがあります。私の知る限りでは 古今東西のロッドメーカーの作り上げたロッドの中で一番短い
フライロッド
で有るとおもいます。
2年ほど前、某ショップのウインドウに展示されていた事があります。BANTY見たさに数回足をはこびました。

写真一番下の竿はその4’4”という長さに引っかかって、いったいどんなロッドになるのか?という
興味だけで作ってみたしろもの です。8フィートロッドのトップセクションだけを使って4‘4“で4WTになる様つじつまだけ合わせて制作しました。結果この長さで十分フライフィッシングは成り立ちました。

今年になってペインのNO.204.8’6”.3/2#4/5を入手するチャンスに恵まれ、その繊細なトップセクションをほれぼれして撫回している時、
むらむらとよからぬ欲望 が沸き上がってきたのです。しかしこのミドルセクションを切る気にはならず(当たり前じゃ!)もう少しバット側に動きを与えたかったためオリジナルのミドルセクションより細身のブランクを手持ちのストックから選んでバットセクションとして仕上げました(写真、中)。これも結果は大当たりでした、本・中流域では8’6”で使用して上流では三分のニの長さ5’7”で使用できるロッドになりました。マーかなりいいかげんな事をしているわけですが オリジナルを傷めず楽しんでなおかつ別の楽しみ も生れるわけですからこのコンビネーショングリップは一本で二度美味しいわけで癖になってしまいました。その後入手したトーマス&エドワード9’6”とF.E.トーマス.バンガーロッド9’6”にも8’として使用できるグリップセクションを新調しました。 持て余している長竿が合ったら御試しあれ?


 クラッシックロッドの楽しみ(もしくは苦しみ)VOL3     2000/10/18 by 長男
 わたしはバンブーロッドが大好きで、買って使って集めて作って改造して.と色々と楽しんできていますが、パソコンを使うようになって更に加熱しています。もともとは仕事の宣伝のためにホームページを活用する目的で導入したのですがインターネットページがアメリカのフライフィッシングサイト、それもバンブーロッドデイーラーとつながった時からパソコンを使う目的が逆転してしまいました。パソコンが私にとっては宝の詰まった宝島へのワープマシーンになってしまったからです。ただキーボードも英語も苦手な中年オヤジですからマウスと翻訳ソフトに頼った格闘の日々でした。でも好きな事のためなら苦手な苦しみも何とかなってしまうようです。
最近インターネット上での取り引きのトラブルが話題になったりしますが実際経験すると煩わしく嫌なものです。最悪一番どうしようもないのは代金を送金したにもかかわらずいつまでたっても品物は届かず相手との連絡が途絶えてしまう事です。これが
高額の品物だったりすると悲惨です、まして相手が外国だとちょっとお手上げ状態で泣き寝入りするしかありません。私は運良くこの状態にはいたっていませんがそれに近い経験はあります。アメリカのオークションで落札して最初は連絡が取れたのですが、送金後何度か連絡を取ったのですが何の連絡もなくしまったのです...。オークションの会社に調査と保険の申請を要請しました。数週間後品物は届きましたが後味の悪さがのこりました。
もう一つのトラブルで多いのが輸送上のトラブルです。通常航空便ですと一週間から十日で届きますが二週間以上経過すると苛立ちが募ってきます相手が誠実な場合はクレームの申請などしてくれますがそうでない場合は困ります。それに保険の受取人も発送人ですから。
この手のトラブルは運を天に任せるよりないのでしょうか?最長で送金から受け取りまで3ヶ月かかった事があります。届いた時アルミケースはカーブしていました。
よくあるのが品物のコンデイションがこちらの想像と違っている事です。品物の写真と説明はあるのですがこちらの理解力が不足していたり、相手の説明が足りない場合もあります。オークションの場合売り手が釣りをせず釣り道具の知識が全くない場合もあります。私の場合はロッドブランクの接着が剥離していたケースが2度ありました。フェルールのゆるみはしょっちゅうですし、ガイドやスレッドの欠落もよくあります。どうしたって買い手のほうが熱くなりますので見落としがちになるのでしょう。私自身は全て直せば何とかなるくらいの気持ちですが、ロッドをいじれない方はくれぐれもお気を付けてくださいませ。
幸運を!!!


 クラッシックロッドの楽しみ(もしくは苦しみ)VOL4     2000/10/29 by 長男
 前回、接着剤の剥離に付いて触れたのでその写真をお見せします。

上の写真では何も分からないので剥離面を強制的に開いてあります。このロッドはヘドンによって制作されたシェークスピアの7フィート6インチ3ピース2トップ#5のロッドです。
E−BAYオークションで熱くなって始めて落札したロッドです。古いロッドはその保存状態の影響が大いに関係あると思います。このロッドは届いて1回目に使用したときには特に問題は感じませんでしたがある時素振りをすると何やらいやな印象が残りました。ミドルセクションからのようだったのでよくチェックすると接着が一部はがれているようでした。最初は少しの間隔だったようですが気になって強くひねりを入れると一気にいってしまったのです。こうなるとガイドとフェルールをはずしてブランクを接着し直す必要がありますが、このロッドのミドルセクションはもともと5センチ程短くなっていたのでこの際新しく作り直すことにしました。アクションも強めだったので手元にあった細めのブランクを選んで組み立てて合わせたところ#3ラインがぴったりのロッドになってしまいました。トップセクションも新しく作り直されたものの様で色が合っていなかったのですがこうなるとオリジナルはバットセクションだけでブランクカラーの違いも目立ちます。こうなったら色を合わせるためバットセクションも新しく作ってやろうか、なーんて考えるとはたして私は何をやっているのやら疑問に感じる今日この頃です


 クラッシックロッドの楽しみ(もしくは苦しみ)VOL5     2000/11/11 by 長男
カルカッタケーンをご存知でしょうか?フライロッドは最初グリーンハートやランスウッドを素材とした木製のロッドでした。木製のロッドは重く折れやすかったため、より軽くしなりが強く折れにくい竹を張り合わせたバンブーロッドが開発されました。カルカッタケーンはバンブーロッドの素材がトンキンケーンに移行して確立するまでの1900年頃までの間多くのロッドメーカーが使っていた竹素材です。レナード、コスミック、トーマス&エドワード、チャブ、デイバイン、オービス等の1900年以前のロッドやノーマークの段巻のロッドにも多くみられます。この1.2年レナード、ペイン、トーマス、エドワードといったメジャーなメーカーから離れ1890年前後から1920年あたりまでの段巻のロッドに注目してきました。するとこのカルカッタケーンの出現率がとても高くなりました。トンキンケーンの出現後も廉価判として作っていたメーカーもあるかも知れません。トンキンケーンに移行する前のJ.G.ランドマンのロッド(ギャラリーページに写真掲載)は非常ににクオリテイーの高い逸品です。
カルカッタケーンの特徴としては規則的に焼いた焦げ後のような模様がある事と、持った感じがトンキンケーンと比較すると軽く感じます。模様に関してはカルカッタケーンの竹素材自体を見たことがないので分かりませんが斑点状の模様があるとなにかで読んだ記憶があります。密度イコール強さと重さであるなら反発力は当然トンキンケーンが強いのは明確ですし竹肌の美しさもトンキンケーンのほうが安定しているとしたら以後全てのメーカーがトンキンケーンに移行したのも納得できます。しかし使用してみるとこれが結構良いのです。パワーがないといっても比較した上での事で素材なりのテーパー設計の問題もあると思います。また当時はドライフライフィッシングが主流になる以前ですからその点も考慮すべきでしょう。
写真は上からトーマス&エドワード9’6”#5/6デイバイン9’6”#6クロス(ノーマーク)8’6’#2/3ノーマーク8’#3/4ノーマーク7’6”#2/3ノーマーク8’#3/4です。
一番下のノーマークロッドはメルトダウンがひどかったため塗料を剥離しました。とても白い竹肌が現れて驚きました。ラインを通してキャステイングしたり、フィールドで使用してみると現代のシャープなドライアクションロッドにはないゆったりとした魅力があります、とは言っても写真一番下のロッドは切れ味も良くWF4のラインを全て出し切るパワーも併せ持っていましたが全体的には軽めでソフトな印象が残りました。特に写真下4本のロッドは近・中距離が良く日本の小渓流やミッジングにマッチしたロッドです。日本のビルダーの中にもトンキンケーン以外の日本の竹に魅力を感じてチャレンジしている方もいます。私も矢竹を使ったり、三男は煤竹を五男はトラ竹を使ったロッドをそれぞれ制作した経験があります。満足できるロッドになるには未だ時間が必要ですがうまく素材の持ち味を生かす工夫をして新しい発見ができる事がとても楽しみです。


TOPへ